小池・マー会談後のアリババの動向を見ると、日本市場を本格的なターゲットにしていることがよくわかる。

 今年1月、アリババ・グループは国際オリンピック委員会(IOC)と8億ドル(約900億円)で最高位スポンサー契約を結んだ。IOCと最高位契約を結んでいるのは日本企業ではトヨタやパナソニックなどで、2020年の東京五輪に向けて大々的な宣伝活動に乗り出そうとしているのは明らかだ。

「アリババは売り上げの大半を本国の中国市場に依存しており、海外での売り上げは8%ほどしかない。そのため資金力にものをいわせた世界戦略に打って出た。その最初の狙いが日本市場だ。

 同社は2007年に日本法人を設立。日本に『爆買い』に来る中国人観光客の多くがアリペイという同社の決済システムを利用し、同社の国際ネット通販サイト『天猫国際』には多くの日本企業が出店している。しかし、いずれも客は中国人。日本の顧客向けのサービスはまだこれからの段階です」(同前)

 では、アリババにとって豊洲新市場の施設(延べ床面積約40万平方メートル)にはどんな利用価値があると考えられるのか。真っ先に思い浮かぶのが物流拠点としての活用だろう。

 同社がアマゾンや楽天などに対抗して日本国内でのネット通販に乗り出す場合、巨大な物流倉庫が必要になる。豊洲という東京都心、そして羽田、成田両空港にも近い一等地に建つ巨大施設は利便性も高い。築地の仲卸関係者が語る。

「小池知事が移転延期を決めてから、宙に浮いた豊洲の建物を物流倉庫として転用する話は、これまで何度も出ています。都心まで10分、首都高の豊洲インターがすぐ側にあり、高速を使えば羽田まで20分、物流拠点としての立地は最高です。設置に70億円かかったとして話題の冷蔵庫は撤去してしまえばいいでしょう」

 都心へのアクセスの良さがあれば、倉庫以外の転用方法もある。経済ジャーナリストの磯山友幸氏は、マー氏はもっと先を見据えているのではないかと見る。

「確かに豊洲は物流拠点としての魅力が高い。ただし、鮮魚など生鮮食品の施設(市場)と生活雑貨を含めた物流倉庫では必要とされるスペックが違う。単なる倉庫にするには豊洲はもったいない。

 仮にアリババが豊洲に関心を持っているとしても、物流拠点に利用するかは疑問です。ジャック・マー氏は創業以来、一代でアリババ企業集団をここまで大きくした経営者で、虎視眈々と将来のビジネスを見据えている。アクセスに優れた豊洲については、アジアの観光客を呼び込む物販とアミューズメント一体型の集客施設にするなど、付加価値の高い利用法を考えるのではないか」

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