実は、菅野氏の情報源は、官邸のメディア操作で記事が書けないと危惧した1人の新聞記者からだったという。菅野氏が語る。

「当日、私は森友学園問題の取材で大阪にいたのですが、そこに知人の大手新聞の記者から電話が入った。『今日の夜、総理が赤坂飯店という東京の中華料理店に記者を集める。そこで森友学園の報道に釘を刺すような話をするようだ。菅野さん、これをネットに書いて国民に伝えて欲しい』と。“それは御社の新聞で記事にした方がいい”と答えると、『うちの社では企画が通らない。だから菅野さんに』ということでした。だからその内容をツイートしたのです」

 自社で書けないからとリークする記者も情けないが、政権の顔色をうかがって報道を自主規制する大新聞社の内実がよくわかる話だ。では、赤坂飯店で安倍首相は記者たちに2時間半もどんな話をしたのか。大手紙政治部記者が語る。

「キャップの話では、最初はもっぱら森友学園問題の釈明。総理は疲れた様子で『カネのやり取りとかやましいことは全くない』と内容は国会答弁の繰り返し。昭恵夫人の名誉校長の件についても『妻がそんな役職に就任していたなんてオレは全く知らなかった』というばかり。

 ちょっと元気になったのはトランプとのゴルフの話。『トランプはめったに相手のゴルフを誉めることはないが、シンゾーはうまく刻むじゃないかと誉められた』とか、『トランプとは国際会議の時に毎回会談すると約束したが、そんな約束を取り付けたのは世界で自分だけ』と鼻高々だったそうです」

 さすがにかつての民主党の大臣のように「書いたらその社は終わり」という露骨な“箝口令”はなかったようだ。

 安倍首相にすれば、わざわざキャップ懇を開いたのだから、余計なことはいわなくても大メディアは封じられたとタカをくくっていたのだろうか。

※週刊ポスト2017年3月17日号

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