元文部官僚で、京都造形芸術大学教授の寺脇研氏は、教育現場に広がりつつある愛国教育を懸念する。
「愛国教育のすべてが悪いわけではなく、“日本は素晴らしい”と教えることまで否定する必要はありません。しかし、子供たちに対してこうした教育を一方的に押しつけるのは行き過ぎた行為と言わざるを得ない」
こうした動きが止まる気配はない。
「今回の森友学園の問題や、親学(おやがく)や江戸しぐさの浸透、憲法授業などの“隠れ愛国教育”の動きは、全国色々なところで同時多発的に起こっています。このような勢力は昔から存在しましたが、今は安倍政権が盤石で、安倍さん自身の考えが彼らに近いことから、後ろ盾を得たとばかりに至る所で“愛国教育”を推進しており、それに反対しづらい空気も広がっています。
一方でリベラル派が、短絡的になんでもかんでも反対するのも問題です。『戦争反対』の話と一緒に『資本主義は悪』『自衛隊を認めない』みたいな極論まで議論が広がってしまう。日本がすべて素晴らしいにも、全部日本が悪いにも偏るべきではないんです。その上で『教育現場でここまでは許されるけど、これをやったらダメだ』ということをきちんとチェックしていかなければならないでしょう」(同前)
教育現場をチェックする大人の目が問われているということだ。
※週刊ポスト2017年3月17日号