コラム

トランプ氏の真の標的は中国 身代わりで日本叩きも

為替政策にも影響か(トランプ氏Facebookより)

 為替相場はアメリカのトランプ大統領の発言に翻弄される展開が続いている。その真意はどこのあるのか、為替のスペシャリスト、松田トラスト&インベストメント代表の松田哲氏が解説する。

 * * *
 外国為替市場に「トランプ円高」の波が押し寄せている。2017年1月のトランプ新政権の誕生前後から為替相場の潮流は大きく変わり、特に円相場はトランプ発言に翻弄される展開となっている。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は2017年中に少なくとも2~3回利上げすると思われ、目先の動きとしては米ドル買いの材料になる。米国の金融政策だけをみれば、米金利の上昇で本来はドル高に向かうはずだ。しかし、トランプ大統領は就任後、日本を名指しで「通貨安誘導」と批判するなど円高圧力を強めており、昨年11月の大統領選後のトランプ相場で進んでいた円安・ドル高基調が円高・ドル安に振れ始めている。

 トランプ政権になってから初の日米首脳会談では、トランプ大統領が円安批判を表立ってしなかったため、週明け13日の円相場は前週末よりも円安の114円台をつけた。だが、トランプ大統領は発言が二転三転する人物だ。このままずっと円安批判をしないとは思えず、円高圧力のアクセルを踏み込むことは十分考えられる。

 中国もトランプ大統領から名指しで通貨安誘導を批判されており、ドイツもユーロ安を批判されている。対米貿易黒字・上位3か国の中国、日本、ドイツが攻撃を受けている格好だが、トランプ大統領の真のターゲットは最大の対米貿易黒字国である中国だろう。だが、中国を御すのは難しいため、とりあえず叩きやすい日本をスケープゴートとして標的にする可能性がある。

 トランプ大統領が日本に最も強く要求してくるのは、日米間の貿易不均衡の是正、円安の是正であることは間違いない。同大統領は政策で円高圧力、中国元高圧力、場合によってはユーロ高圧力もかけてくると思われるが、最もターゲットにしやすい通貨は日本円だろう。為替政策の最大の狙いである中国元高にするには、円高にするのが手っ取り早いという背景もある。

 私は、1985年のプラザ合意のような動きがすでに始まっていると考えている。貿易不均衡是正のための米ドル高是正は、プラザ合意の時から取り組んできたテーマである。結果的には為替政策では米国の貿易赤字体質は変わらず、現在に至るわけだが、トランプ大統領は最終的に失敗するとわかっていても強硬な為替政策を実行してくるだろう。

マネーポスト2017年春号

関連キーワード

トピックス

大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
「家に帰るのが幸せ」大谷翔平がリフレッシュする真美子さんとの“休日”「スーパーにお買い物に行ったり…」最近は警備強化で変化する「デコピンの散歩事情」
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《国内復帰を目指す前田健太投手》「漂う関東志向」元アナウンサー妻がSNSに投稿した“東京の父”と慕うカープの大先輩との写真
NEWSポストセブン
草間容疑者は新宿区内の雑居ビルエントランスで逮捕された
《マスク姿でウロウロ…》草間リチャード敬太容疑者が逮捕前に見せていた“不可解な行動”とは 近隣店従業員が「一見酔っている様子はなくて…」と語る“事件直前の姿”
ハッシーが語った“転落”(本人SNSより、現在は削除済み)
性風俗店受付の面接を受け「なんでこんなことに…」人気棋士・ハッシーが法廷で語った離婚後の“転落”「公園で過ごすことも」【橋本崇載被告・公判】
NEWSポストセブン
アルゼンチンで女性3名が殺害される事件が発生した(Instagramより)
「性的パーティーに誘われて…」「左手の指5本と耳を切断」アルゼンチンで女性3名が殺害 “インスタ生配信”で凄惨現場を約45人が視聴《深刻化するフェミサイド》
NEWSポストセブン
逮捕された草間リチャード敬太容疑者
《黒い帽子にマスク姿で…Aぇ! group草間リチャード逮捕》現場は「警察がよく巡回するエリア」人気アイドルが明け方に露出した際の服装
NEWSポストセブン
米原市役所前で、集まった市民に手を振られる両陛下。雅子さまの、織りのジャケットが華やかな青いセットアップは、2019年、マクロン仏大統領とブリジット夫人とのご会談、昼食会のときにお召しになっていた(JMPA)
天皇皇后両陛下、国民スポーツ大会開会式にご出席 開催地の滋賀は新婚当時に琵琶湖の景色に感動し、歌を詠まれた思い出の場所
女性セブン
総裁選に出馬した林芳正氏(時事通信)
「2時間ほどしていた」「紳士でした」“セクシーヨガ”と報じられた美人インストラクターが語る林芳正氏のスタジオでの姿
NEWSポストセブン
中国の名門・清華大学に在籍する
「あまりにも美しい女性は生配信に向かない!」中国の名門・清華大の美女インフルエンサーが突然の更新ストップ【SNSを巡る親子の対立で物議】
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
《クロスボウ殺人》母、祖母、弟が次々と殺され…唯一生き残った叔母は矢が貫通「息子は、撃ち殺した母をリビングに引きずった」【野津英滉被告・公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《本人が最も恐れていた事態に…》「タダで行為できます」金髪美女インフルエンサー(26)、デリバリー注文のバーガー店が滞在先を暴露「軽視できません」
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”を繰り返していた前橋市・小川晶市長(時事通信フォト)
小川市長”ラブホ会議問題”の前橋市民から出る嘆き 「高崎の親戚からすんげえ笑われた」「男と女でどんな会議なんかい、ほんと恥ずかし」
NEWSポストセブン