何と言っても日本にとって脅威なのは、北朝鮮だ。金正恩は日米首脳会談の真っ最中に弾道ミサイルをぶっ放し、挑発してきた。日本はそれに対し、「断じて容認できない」とお決まりのフレーズで声明を出しただけだった。
北朝鮮は、潜水艦発射型のミサイルを地上から発射するタイプに改造した新型弾道ミサイルであり、実験に成功したと主張している。発射準備に時間がかかる液体燃料ではなく固体燃料が使われたとも指摘されている。本当なら、発射の兆候がつかみにくくなり日本の安全保障にとって極めて深刻な事態だ。
他の国なら、隣国から何発も弾道ミサイルが発射され、目の前の海に撃ち込まれていたら、すぐ戦争になる。ここまでされて何もしないのは、日本くらいのものだ。日本は「ケンカ」を恐がっているから舐められて、北朝鮮の挑発がエスカレートするのである。
金正恩は異母兄の金正男を暗殺し、暴走を加速させている。アメリカが世界平和にコミットしないとなれば、金正恩にとっては大チャンスだ。習近平が金正恩をバックアップし、極東で戦争が始まる可能性もある。その時、日本は“2つの核保有国”と戦わなければならないのだ。アメリカの劣化により、世界はジャングル化した。日本人は、その中でどう生き抜いていくか、考えていかなければならないのである。
※SAPIO2017年4月号