さらに産経新聞は森友疑惑追及を強める野党を牽制するように、証人喚問までは「再び解散風が吹き始めた」(3月6日付)などと4月衆院解散説を書き立て、喚問が終わった途端に「首相、4月総選挙見送り」(3月28日付)と“スクープ仕立て”で報じた。自社スクープを自社スクープでひっくり返す離れ業だ。
いまや森友疑惑は意固地になった安倍首相と開き直る籠池氏の非難合戦にとどまらず、籠池夫人のメールで「幼稚園に侵入しかけた」と名指しされた民進党の辻元清美氏という新たな登場人物まで加わった三つ巴の泥仕合と化し、与野党とも幕を引きたくても引けなくなっている。メディアにとっては面白おかしい話題が提供され続けるわけだが、おいしい話には毒がある。
メディアが籠池劇場の高視聴率に浮かれて思考停止になっているのを見て、陰で「ありがとう」と喜んでいる人たちがいることを忘れてはならない。
※週刊ポスト2017年4月14日号