「『なぜそうなのか』といった根拠を質問されるなど突っ込まれることも多いので、参考文献を用意するなど入念な準備が必要になります。また、初めは久しぶりの勉強で、授業を受けてもどうすればいいかわからなかった人が、しっかりした論文を書くようになってきます。年齢に関係なく成長されていて、本格的な大学進学を考えるかたもいらっしゃるんですよ」(香山さん)
「学び直し」の後、教える側に回った人もいる。斉須寿恵子さん(71才)は、「教えるというのは結局、自分のためだとわかった」と話す。
2000年半ば、日本は韓流ブームに沸いた。韓国ドラマ『冬のソナタ』が大ヒットし、ヨン様全盛期のころ、斉須さんは韓国にハマった。2007年に夫に勧められて国士舘大学(東京・世田谷区)の韓国語講座を「入門」「初級」「中級」と1年間受講したが、「上級」がなかったため、さらに学びたいと思った斉須さんは、近くの区民会館を借り、そこに自ら講師を招いて講座を開いた。そしてその間、先生の手伝いとして補講を開き、発音や文法のわからない生徒を教えていた。
「教えるといっても、自分の立場が上になるわけではありません。人様に間違ったことを教えられないので、この言葉はどう使い方が違うのかと質問があると、全部家に帰って勉強し直します。それで翌週に伝えるので、人様に教えるということは、自分の勉強のためにやっているようなものなんです。教えながら、自分が勉強させていただいていることになりますよね」
そう話す斉須さんは、今はもう教えていない。ただ、韓国語の勉強は抜かりない。ネットを駆使してNHKの韓国語のニュースや韓国語の天気予報を見てはわからない言い回しや文法をチェックしてノートに書き取り自分で調べる。毎日30分勉強し、時にはそれが数時間におよんで目が充血することもあるそう。その情熱はどこから来るのか。
聞いてみると斉須さんは目を輝かせた。
「だって私には目標がありますから。ウフフフ。それは2020年の東京五輪で韓国語の通訳をすることです」
※女性セブン2017年4月13日号