国際情報

呉智英氏 韓国を「南朝鮮」と呼ぶ人に反応

評論家の呉智英氏

 その国をどう呼ぶのかは、時代とともに移り変わる。以前は普通に呼ばれていた名前が、差別だと禁じられることもあった。北朝鮮と韓国をどう呼ぶのかの移り変わりについて、評論家の呉智英氏が考察する。

 * * *
 先日東京の新橋駅を降りると、右翼が街頭演説をやっていた。内容は例の調子だったが、一つだけ、おっ、面白い、と思った。まだ勢いがあった頃の日本共産党が使っていた言葉が使われていたのだ。右翼活動家はしきりに、南朝鮮、南朝鮮、と言っている。

 共産党は二十世紀末まで「韓国」という名称は使わず、必ず「南朝鮮」と呼んでいた。朝鮮半島の正統な国家は北朝鮮であり、南朝鮮にあるのは米軍に後押しされた傀儡国家だ、というわけである。どうしても韓国という言葉を使わなければならない時は、かっこをつけて「韓」国と呼んだ。例えば、日「韓」条約反対などと。

 米軍基地反対運動などで長く歌われてきた反戦歌に『この勝利ひびけとどろけ』(荒木栄作詞作曲)がある。1962年春の福岡の板付基地包囲闘争の「勝利」を歌ったものだ。

筑紫野の緑の道を
すすみゆく十万の戦列
(略)
とびたてぬ一〇〇のジェット機
姿かくす戦争の手先
板付は包囲された
アメリカは包囲された
南ベトナムへ南朝鮮へ
この勝利ひびけ とどろけ

「十万の戦列」はいつもの「主催者側発表」だし、基地突入ならともかく、基地外の包囲だけで軍用機が飛行中止するとは思えないのだが、それは措くとして、はっきりと「南朝鮮」と歌っている。

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン