●聖徳太子は不幸な死を遂げた?
聖徳太子が為政者として業績を残したのは事実ですが、それよりも不幸な死に方をしたがゆえに悪霊にならないよう、「聖徳太子」と名付けて神格化されたというのが僕の説です。
実は聖徳太子の後に、「徳」の字のつく天皇は6人いる。孝徳天皇、称徳天皇、文徳天皇、崇徳天皇、安徳天皇、順徳天皇です。このいずれもが“穏やかな死に方”をしていません。孤独死、憤死(無念の死)、自殺など不幸な形で亡くなっているのです。つまり「徳」の字は「無念の生涯」を送った天皇に贈られたものだと考えるべきです。
そこで私は、聖徳太子は自死したのではないかと考えています。
当時、聖徳太子の父親の血筋である天皇家と、母方の蘇我家が対立していた。熱心な仏教徒だった聖徳太子は、その血の争いを断つために仏教の「捨身・しゃしん(※注)」という姿勢を取ったのだと思います。
【※注/他の人や生き物のために自分の命を捨てること】