国際情報

金正恩 バッジを外した理由は3代目としての矜持?

金正恩委員長の真意は?(写真:アフロ)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、金正恩委員長の心理状態を読み解く。

 * * *
 北朝鮮をめぐる緊張状態が続いている。テレビで金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の顔を見ない日はないほどだ。2012年の軍事パレード終了時、バルコニーから身を乗り出し、ちぎれんばかりに手を振り、群衆に向かって拍手していた若き指導者も、今や貫禄たっぷり、悠々と手を振る将軍様に。おっといけない、金委員長はまだ33歳だ。

 15日に行われた金日成生誕105周年記念軍事パレードでは、その貫禄ある身を人民服ではなく、スーツで包んでいたことが話題になった。人民服は金委員長にとってある種、ユニフォームみたいなもの。

 ユニフォームを着ることで、同じ集団や組織に属していると内部でも外部でも一目でわかり、集団のイメージを作りやすく、仲間意識や結束を強めることができる。警察官の制服を例にするが、それを着ていることで、相手から期待される役割を演出し優先させる効果もある。

 金委員長の人民服は、国としての結束と北朝鮮トップの役割を象徴するもの。だが諸外国から見ると、あの人民服姿は独裁者のイメージが強い。それを今回の軍事パレードでは脱いだのだ。ここには、自らの役割やイメージを変えようとする意図が働いているように思う。

 人民服姿の独裁者からスーツを着た発展する国のリーダーへ、イメージチェンジ。先進国となった中国だって、首脳陣はすでに人民服を脱ぎどこでもスーツ姿だ。宗教的な意味がないかぎり、発展する国のリーダーはみんなスーツなのだ。

 諸外国にとっても人民服姿よりスーツ姿の方が、見た目に違和感がないのは確かだ。もし人民服とスーツ姿の人が目の前に現れたら、間違いなくスーツ姿の人に好感を持つだろう。

 米国をはじめとする諸外国をこれまで以上に意識しており、すでに自分は各国首脳と肩を並べるグローバルなリーダーなのだと北朝鮮人民にもイメージ付けたかったのではないだろうか。

 さて、このスーツ姿、驚くことがもう1つある。その胸にバッジはなかったのだ。祖父を称える生誕記念の軍事パレードに、その肖像が描かれたバッジをつけないってどういうこと?…である。

 また、25日の朝鮮人民軍創建85周年を祝う合同攻撃演習で行った、建軍史上最大規模の砲撃訓練を、人民服姿で笑顔を見せて視察する金委員長の胸にも、肖像徽章である金日成バッジが見当たらないのだ。北朝鮮では、公式な場では必ずつけなければいけないはずだが。金委員長だけは、やはり別格ということだろうか?

 実は、これまでにも度々、バッジをつけていない姿が見られている。だが、今回はかつてないほど、その一挙一動に各国が注目している中でのことだ。

関連記事

トピックス

逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン