◆利用価値が高い
産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は、「文在寅氏は、このように韓国人の“ツボ”を心得た保坂氏の“利用価値”が高いと踏み、自陣営に取り込んだのではないか」と見る。
「保坂氏が帰化していることは、実は韓国社会ではあまり知られていません。本人は隠しているわけではないのですが、今でも“日本人”としてメディアで紹介されることが多い。だから『日本人でさえも独島や慰安婦問題で日本を批判している』と国内外に印象付けることができるのです」
保坂氏はあと2年で定年を迎える。韓国では引退した大学教授はほぼ例外なく隠居生活を強いられるため、今回の起用は彼にとっても千載一遇のチャンスなのだという。はたして保坂氏は、文在寅氏の右腕として政権入りを果たすことができるのか。
「本人だってまんざらではないはず。文在寅陣営に合流してからは、積極的に自己アピールに励んでいます。
ただし、政権に組み込まれるかは疑わしい。日韓関係を担当するには日本での知名度、人脈がモノを言います。彼にはそれがありません」(前出・黒田氏)
本誌は保坂氏に真意を問うべく取材を申し込んだが、「大変申し訳ないのですが、ご存じのとおり現在、私は文在寅陣営の一員であり、個人的な立場での取材を控えております」との回答だった。
文在寅氏の心の内はさておき、保坂氏の政権入りの心構えは確かなようだ。
※SAPIO2017年6月号