◆ウチの会社はブラックだ!
いま問題となっている長時間労働を強いる会社は注意する必要がありますが、残業時間の長さだけをもって「ブラック企業」と判断するのは、いささか安易です。ブラック企業とは、構造的な欠陥があって、結果として長時間の残業時間が常態化しているような企業をいいます。
労働時間で極端な例を挙げれば、24時間営業の店舗のスタッフを2人で回すような企業のこと。つまり、ひとり12時間労働が前提になっていて、法定労働時間の8時間では、到底シフトが組めないような勤務形態になっている企業が該当します。
その一方で、納期前などの繁忙期や突発的なトラブルで一時的に残業時間があがってしまうのは、許容範囲といえます。仮に、普段、残業時間が長い場合でも、仕事がないときは早く帰れる、休日はきちんと休めるなどメリハリがある会社は、長時間労働で退職を決意するほどのブラック企業とは言い難いでしょう。
まだ経験の浅い新入社員があまりに定刻に帰宅することにこだわると、「あの人に任せるのは心配」、「あの人に頼んでも無駄」と、やがて周囲からアテにされなくなってしまう。その結果、他人の苦労がわからない、表面的な受け答えをする「できない人材」の仲間入りする羽目になってしまいます。
たとえ上司から「時間が来たから、帰っていいよ」と言われても、進めている仕事を強制終了して、自分に後悔はないか? と立ち返ってみるくらいの気概が必要です。ビジネスの世界では、決められた期間内、時間内に終わらせることは非常に大事ですが、時には、所要時間を考えずにじっくり深く考えることで、より成果の上がる仕事に繋がることもあるのです。
◆もうやっていく自信がない……
本人は一生懸命やっているのだけど、上司から怒られて、「もう、やっていく自信がない……」と、突然、退職届を提出してくる新入社員が必ず出ます。逆に、あっちこっちから仕事を言いつけられて、テンパった挙句に、「まだ、できてません」を連発。結局、方々から怒られて、「こんなに怒られる筋合いはない!」と、逆切れして退職届が出てくるパターンもあります。
「便りがないのは元気な証拠」と同じで、会社では、黙っていると、「順調に進んでいる」ものと判断されてしまいます。
実は、上司のほうも、「何も言わないけれどちゃんとやっているのかなあ」と心配していて、あんまり口出ししたり、せかしたりして、うるさい上司、パワハラ上司と思われるのも嫌だから、「何かいってくるまで待とう」としていることがよくあります。ジリジリ待っていた挙句、「できませんでした」と、新入社員の言葉に怒り爆発というシーンも見受けられます。
かつての新入社員なら、上司から“飲ミュニケーション”の誘いを受けることも多かった。「まだ、頼まれた仕事が終わっていないので行けません」と、断ることをきっかけに、新入社員が困っていることに上司が気づくこともできました。また、浮かない顔をしていれば、「どうした?」と、上司が新入社員に歩み寄る格好のチャンスが飲ミュニケーションにはありました。
しかし、今は、「飲みに行くことの強要」=「パワハラ」ととらえられることを恐れて、飲みに誘わない上司が多いですし、「部下が仕事を終えるまで待つ」上司も減ってきていて、先に帰ってしまう上司も珍しくありません。
かといって、「わからないことがあったら、聞いてね」と言われても、「どこがわからないのがわからない」のが新入社員。
八方ふさがりで困ったときは、「困ってます」、「指示通りの時間にはできない」と、仕事の締め切りや納期前、就業時間中にSOSを周囲に出すことが大事です。そうすることで新入社員のほうがびっくりするほど周囲が助けてくれるケースもよくあります。
実際、新入社員時代、もくもくと仕事をこなした人よりも、「はじめはどうなることかと思ったよ……」と、上司の手を煩わせた人のほうが花開くことも多いのです。
以前、上司からの叱責を丹念にメモを取って、そのメモを見て、また、落ち込むという新入社員がいました。初めてのことをやっているのだから、叱られるのは当たり前。上司の叱責は適当に受け流してはいけませんが、だからといって、まともに捉えすぎるのも問題なのです。