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2017.05.15 07:00  女性セブン

92才料理研究家「食欲がないと呟いたら通夜の用意を」と家族に

料理研究家・鈴木登紀子さん(92才)の元気の秘訣はおしゃれを楽しむ心

“ばぁば”こと料理研究家の鈴木登紀子さん(92才)が5月15日に新刊『ばぁば92年目の隠し味』(小学館)を上梓する。

「ヒトを“人”にするのは知恵と心。でもね、人は見かけも大事よね」

『きょうの料理』(NHK Eテレ)への出演は46年目、20代からも「ばぁば、かわいい」

「大好き! お姑さんになってほしい」…と、絶大な人気を誇るばぁば。

 どんな時にも、唇にはシャネルの赤い口紅をひき、アクセサリーを忘れない。小粋なステッキですたすたと歩き、毎月の料理教室も3時間立ちっぱなし、しゃべりっぱなしでこなす。出演番組での後藤繁榮アナウンサーとのウイットに富んだかけ合いも大好評で、「こんな92才になれたら…」という声が多数届く。

「92才だろうが、20才だろうが、身だしなみをきちんとするのは当たり前のこと。人様にお会いする際にはとくに、それが礼儀というものです。年をとりましたらなおさらのこと、しょぼくれた92才のばぁ様に、誰も会いたくはないでしょう(笑い)? カラフルなお洋服を、艶やかにすっと着こなせるのも年の功かしら。おしゃれは心がウキウキするもの。楽しまなくちゃ損よね」

 料理の世界では、爪に色を付けるのはタブーとする不文律がある。ばぁばも、最近までは撮影などの際は、ネイルは必ず落としていた。

「でもね、爪もやはり92才なの。顔にお粉、唇に紅できれいにするように、手元も“メイク”してあげないと、せっかくのお料理までくたびれて見えてしまう。それは私、耐えられないもの」

 新刊『ばぁば 92年目の隠し味』には、22才の時に夫・清佐さん(故人)に嫁いでから70年、3人の子供の母として、また、料理研究家として作り続けてきた日本の家庭料理への思いと、遺していきたい料理、作法などをすべて盛り込んだ。

「2年前から次女夫婦と同居をしているのですが、じつはこの間、納戸とお台所の間の床が老朽化でベコベコになってしまって、床板を張り替えることになったの。下見に来た大きく屈強な職人さんが開口一番に『ああ、だしのいい香りがしますねえ。お祭りですか?』とおっしゃったの。

 その時、改めて危機感を抱きました。ユネスコの文化遺産にも登録された“和食”ですのに、私たち日本人が、おだしの取り方やご飯の炊き方を知らないのは本末転倒だと。せめて一汁二菜、いえ、一汁一菜でもけっこうです。熱々のご飯と、汁もの、そしてお魚の塩焼きだけでもよいですから、心を込めて作っていただきたい。そしておふくろの味を、お子さんに伝えていただきたいのです」

 撮影や取材の際、ばぁばはスタッフのため必ず昼食や茶菓を用意する。今回は、たけのこの炊き込みご飯のおにぎりだ。

「ほら、たくさん召し上がれ。腹が減っては取材にならぬ! よ」。そう笑いながら、おにぎりを2個パクパクと平らげた。

「“今日は食欲がないの…”と私がつぶやいたらお通夜の用意をしなさいと、家族には言ってあります」

撮影/近藤篤

※女性セブン2017年5月25日号

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