ライフ

92才料理研究家「食欲がないと呟いたら通夜の用意を」と家族に

料理研究家・鈴木登紀子さん(92才)の元気の秘訣はおしゃれを楽しむ心

“ばぁば”こと料理研究家の鈴木登紀子さん(92才)が5月15日に新刊『ばぁば92年目の隠し味』(小学館)を上梓する。

「ヒトを“人”にするのは知恵と心。でもね、人は見かけも大事よね」

『きょうの料理』(NHK Eテレ)への出演は46年目、20代からも「ばぁば、かわいい」

「大好き! お姑さんになってほしい」…と、絶大な人気を誇るばぁば。

 どんな時にも、唇にはシャネルの赤い口紅をひき、アクセサリーを忘れない。小粋なステッキですたすたと歩き、毎月の料理教室も3時間立ちっぱなし、しゃべりっぱなしでこなす。出演番組での後藤繁榮アナウンサーとのウイットに富んだかけ合いも大好評で、「こんな92才になれたら…」という声が多数届く。

「92才だろうが、20才だろうが、身だしなみをきちんとするのは当たり前のこと。人様にお会いする際にはとくに、それが礼儀というものです。年をとりましたらなおさらのこと、しょぼくれた92才のばぁ様に、誰も会いたくはないでしょう(笑い)? カラフルなお洋服を、艶やかにすっと着こなせるのも年の功かしら。おしゃれは心がウキウキするもの。楽しまなくちゃ損よね」

 料理の世界では、爪に色を付けるのはタブーとする不文律がある。ばぁばも、最近までは撮影などの際は、ネイルは必ず落としていた。

「でもね、爪もやはり92才なの。顔にお粉、唇に紅できれいにするように、手元も“メイク”してあげないと、せっかくのお料理までくたびれて見えてしまう。それは私、耐えられないもの」

 新刊『ばぁば 92年目の隠し味』には、22才の時に夫・清佐さん(故人)に嫁いでから70年、3人の子供の母として、また、料理研究家として作り続けてきた日本の家庭料理への思いと、遺していきたい料理、作法などをすべて盛り込んだ。

「2年前から次女夫婦と同居をしているのですが、じつはこの間、納戸とお台所の間の床が老朽化でベコベコになってしまって、床板を張り替えることになったの。下見に来た大きく屈強な職人さんが開口一番に『ああ、だしのいい香りがしますねえ。お祭りですか?』とおっしゃったの。

 その時、改めて危機感を抱きました。ユネスコの文化遺産にも登録された“和食”ですのに、私たち日本人が、おだしの取り方やご飯の炊き方を知らないのは本末転倒だと。せめて一汁二菜、いえ、一汁一菜でもけっこうです。熱々のご飯と、汁もの、そしてお魚の塩焼きだけでもよいですから、心を込めて作っていただきたい。そしておふくろの味を、お子さんに伝えていただきたいのです」

 撮影や取材の際、ばぁばはスタッフのため必ず昼食や茶菓を用意する。今回は、たけのこの炊き込みご飯のおにぎりだ。

「ほら、たくさん召し上がれ。腹が減っては取材にならぬ! よ」。そう笑いながら、おにぎりを2個パクパクと平らげた。

「“今日は食欲がないの…”と私がつぶやいたらお通夜の用意をしなさいと、家族には言ってあります」

撮影/近藤篤

※女性セブン2017年5月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「公明党票」の影響で自民vs中道vs維新の三つ巴も(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪11〜19区」の最新情勢】公明党の強力地盤「16区」で立憲出身中道候補の「維新逆転」はあるか 政治ジャーナリストが分析
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン