国際情報

中国の結婚詐欺 14歳の娘に「三重婚」させる手口まで発覚

嫁不足を逆手に取る人々も(写真:アフロ)

 現代社会において詐欺の被害は拡大の一途だが、これは中国ならではの手口といえるのだろうか。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 金に困った母親が子供からむしり取る。世間では決して珍しい話ではない。また、こんな話は世界中にあふれているといつてしまえばそれまでだ。しかし、子供に無心したり無理やり働かせるといった話はあふれていても、14歳の娘に次々に偽装結婚をさせて相手の男から金を騙し取ったといえば、やはりニュースとして報じられる話題だろう。

 そんな“鬼母”ぶりを発揮したのが、安徽省淮南市に住む41歳の汪という女性である。汪は、いまから二年前に夫と離婚し、実家のある淮南市に出戻っていたという。

 実家で暮らし始めて間もなく、汪は現地で比較的羽振りの良い若い男をみつけて暮らしていたが、間もなく破たん。経済的に困窮してゆく中で考え出したのが、結婚を餌に結納金だけをもらい、後に婚約を解消して逃げるという詐欺であった。

 これは結納金を先に渡すという現地の風習に加え、田舎の深刻な嫁不足という事情をも利用した詐欺であった。

 2015年末から2016年の初めにかけて、汪は娘の小夢を立て続けに三人の男と結婚させて、まんまと20万元(約330万円)を手に入れてしまうのだった。

 だが、こんな荒っぽいやり方が通用するはずもなく、間もなく汪は婚約不履行で訴えられてしまう。裁判所は汪に結納金の返還を命じたが、そのころにはもうほとんど使ってしまっていたという。こんなことをすれば当然のこと実家にはいられない。

 そこで汪はかつてのボーイフレンドが住む定遠県炉橋鎮へと移り、その男性と一緒に暮らし始めた。しかし、かつてのボーイフレンドは決して裕福ではなく、実際に生活は厳しいものだった。

 汪は再び小夢を使って金を稼ぐことを思いつく。もちろん思いつくといっても手口は同じである。しかも今回は四か月の期間、同時に三人の男性と実際に結婚をさせていたというから驚きである。

 汪が手にしたのは30万元(約495万円)だというが、こんな詐欺が通用するはずもなく、今年2月14日、汪は地元定遠県の公安局に逮捕されたのだった。

関連キーワード

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
イセ食品グループ創業者で元会長の伊勢彦信氏
《小室圭さんに私の裁判弁護を依頼します》眞子さんの“後見人”イセ食品元会長が告白、夫妻のアパートで食事した際に気になった「夫としての資質」
週刊ポスト
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン