「そうね、またつくりたいという気持ちはあるね。寅さんだって、最初は、こういう形で始まって、だんだん続いていったんだけど。これだけの出演者が揃っていると、ここにまた今回の銀杏のような核を放り込んでみると、こう結晶するんじゃないかなと、そんなことを想像するのは楽しいですよ。
優秀なオーケストラを持っていて、そこにシンプルなオリジナルメロディの楽譜を放り込めば、みんなが素敵なアンサンブルの音を出してくれる。メンバーは、それぞれが自分の音を持っていて、黙っていても音楽ができちゃう」
撮影中、『家族はつらいよ2』のタイトルデザインを担当した横尾忠則の話になった。横尾とは、『東京家族』(2013年)でイメージポスターを描いてもらって以来、つきあいが続いている。
「2人で会うと必ず夢の話をするの。僕と彼の間で謎なのは、夢って誰が考えてくれるんだろうってこと。見たことのない景色の中で、逢ったことのない人物が不思議な表情で聞いたこともないことを言う。
どう考えても僕の過去に見た景色じゃない。フロイト流に言えば、潜在意識ってことになるんだろうけど、その潜在はどこで得たの? やっぱり、誰かが考えて伝えてくれているんじゃないの、なんて2人で話しているんですよ」