「例えばトイレットペーパーの芯は子供が学校の工作で必要とすることがあります。最近は新聞を購読する家庭が少ないので、掃除やペットのトイレに使える古新聞が重宝するし、離婚届を役所に取りに行って人に見られたくないからメルカリで購入するという人もいます」
こうした商品を出品するのは意外にも主婦が多いと鈴木さんが続ける。
「メルカリのスタート当初は若い世代の利用が多かったのですが、今は主婦の利用も増えています。一見すると価値のないものに値段をつけて売ることができるのは、主婦感覚の賜物。実際のフリーマーケットに参加するのも主婦が多いですしね」(鈴木さん)
商魂たくましいのは主婦ばかりではない。東洋大学総合情報学部教授の藤本貴之さんは、教え子の女子大生のメルカリ使いに驚いた。
「アパレル店でアルバイトをしている女子学生が、7割の従業員引きで購入した服を1、2回着てからすぐにメルカリで売るんです。定価1万円の服なら3000円で買い、数回着てから5000円で出品する。その儲けでまた従業員割引の服を買い、メルカリで売ることの繰り返しです」
メルカリでその服を買った人も数回着てまたメルカリで売りに出すことが多いという。
「こうしてお金と商品がメルカリの中でぐるぐる回っています。昔と違ってファッションにお金をかけない現代の若い子らは、メルカリをクローゼット代わりにして服を回している。それが当たり前の使い方なんです」(藤本さん)
こうした売買が成り立つのは人々の「ほしいもの=需要」と「売りたいもの=供給」がメルカリを舞台にマッチするからだ。前述の通り、現在のメルカリでは紙幣の出品は禁止となったが、以前は「売りたい」「ほしい」という利用者の希望に応じ、ギザ10円やゾロ目の発行番号を持つ紙幣など、希少価値の高いものは出品可能だった。
※女性セブン2017年6月1日号