国内

次世代型路面電車 導入機運高まるも様々な障壁あり

JR富山港線を路面電車に転換した富山LRT。一部区間は新設

 未来のまちづくりにおける課題のひとつは、高齢化社会を迎えても暮らしやすい街にすることだ。その解決策のひとつとして、次世代型の路面電車導入を検討する自治体が全国で増え、ちょっとしたLRTブームともいえるほどだ。しかし、いざ実行にうつそうとなると、様々な問題が立ちはだかりなかなかすすまない。ライターの小川裕夫氏が、栃木県小山市のLRT計画を例に、LRT計画の実情をリポートする。

 * * *
 CO2を排出しないから環境にやさしい・バリアフリー対応のため高齢者や障害者でも使いやすい・中心市街地活性化にも寄与するetc…。

 路面電車の整備には、そんな大義名分が掲げられる。そうしたメリットがあるとわかっていても、路面電車をゼロから建設することは、かなり難しい。栃木県宇都宮市が2019年に開業予定にしているLRT(Light Rail Transit)計画も、その道のりは決して順調とは言えなかった。

 宮城県仙台市や愛知県名古屋市のように路面電車を運行していた歴史を持つ自治体ならば、まだ市民からの理解を得られやすかったかもしれない。宇都宮市は路面電車を運行していた実績がないだけに、市民の理解を得られるかも未知数。そういう意味で、宇都宮LRTは、前人未到への挑戦でもあった。

 宇都宮のようにゼロから路面電車を計画する自治体がある一方で、JR西日本の富山港線の線路を転用した富山ライトレールのように既存の施設を活用・転用することを検討する自治体もある。そのひとつが、東京都葛飾区だ。

 今年2月、葛飾区は2017(平成29)年度予算にLRTの調査費用を盛り込むことを発表した。葛飾区が着目したのは、金町駅-小岩駅を走る貨物専用線。同線は新金線と通称されている路線で、貨物列車が1日に2、3本運行されている。葛飾区は貨物列車が運行していない時間帯に路面電車を走らせることで、線路の有効活用を図ろうとした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン