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巨人・高橋監督 「引退即監督」の弊害はどこまであるか?

 思えば、高橋由伸監督の就任前の巨人には、野球賭博という大問題が横たわっていた。

「球団は困った時、スター選手の名声に頼ろうとします。しかし、専任コーチの経験もなければ、外から野球を観る機会もなかった元選手が監督になって、いきなり名采配をふるえるほどプロ野球は甘くない。監督ではなく、指名した球団に責任があると思います」(同前)

 現役引退後、即監督に就任したチームで、名監督の域に達したと言える人物はなかなかいない。藤田は2年連続、稲尾は5年連続、広瀬と有藤は3年連続でBクラスになり、辞任に追い込まれている。長嶋も6年間で2度の優勝をしたものの、常勝を義務づけられた巨人で日本一になれなかった。

「かといって、彼らが指導者として才能がなかったわけではありません。藤田は1956年に社会人・日本通運浦和の初代監督に就任し、2年目に都市対抗野球出場を果たし、準優勝しています。稲尾は1978年から1980年まで中日の投手コーチを務め、小松辰雄や牛島和彦を育てた。1984年、ロッテの監督となると2年連続2位に。落合博満や愛甲猛といった一匹狼も稲尾に心酔するなど人心掌握術に長けていた。

 広瀬は1991年から2年間ダイエーの守備走塁コーチを務め、1991年は大野久、1992年は佐々木誠と2年連続盗塁王を輩出。チームに走る意識を植えつけ、1991年には両リーグ1位となる141盗塁を記録させた。長嶋茂雄も2度目の監督就任後は2度の日本一に輝き、1994年の10・8決戦や日本シリーズという短期決戦で名采配を見せています。有藤だけはその後、指導者のチャンスが巡ってきていませんが……」

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