1981年から現在も続く『ベストヒットUSA』(BS朝日、金曜23時~)は、長きにわたって洋楽ファンに愛されるテレビ番組だ。
5月22日の収録には、シングル・アルバム共に全英1位を獲得したシンガーソングライターのジェイムス・アーサーがスタジオに登場。小林は力強い握手を交わすと、軽妙な語り口で緊張を解き、わずか15分ほどでゲストの素顔を引き出していった。
47年にわたり第一線を走り続け、現在もテレビ・ラジオを合わせたレギュラー7本を抱える小林だが、20代後半から30代にかけて悩んだ時期もあった。
「日本では洋楽を紹介するときに、このアーティストはどんな人でどういう曲だという解説をしますが、アメリカでは曲を紹介する前にあまり解説しないんですね。だから、僕はラジオの洋楽紹介が嫌いで、僕の仕事じゃないという思いがあった。ラジオは駄目かもしれないって思っていました(笑い)」
そんななか、時間をかけて確立したのが、絶妙なトークでアーティストの音楽観を露わにし、その魅力を引き出すスタイルだった。
「やっているうちに、僕はアーティスト自体に興味があるのだと分かってきたんです。ジョン・レノンがツアー中だとか、いつ何をしたといった情報よりも、彼はどういう人間で、なぜああいう作品ができたのかということ。
ラブソングひとつとっても、アーティストによって表現の違いや癖があることに着目して、だんだんとそういった部分を紹介するようになっていきました」