たとえば本誌でも連載中の産経新聞ソウル駐在客員論説委員・黒田勝弘氏は、この問題で舛添批判が沸き起こる最中、同紙のコラムでこう記した。
〈最近、東京の韓国人学校の移転先に都立高校跡地を提供する計画に反対、批判の声が出ているとの記事が本紙に出ていたが、こうした反対はまずい。ソウル日本人学校もお世話になっているのだから、ちゃんと実現してほしい〉(2016年3月26日付)
ここに書かれている通り、ソウルにある日本人学校の建設では韓国側が便宜をはかってくれた。ならば東京がそれに報いるのは至極当然。黒田コラムには舛添氏も勇気づけられたと語り、新著でも引用しているのだが、批判が収まる気配はなかった。いや、“舛添バッシング”の真の発端はこの韓国人学校をめぐる問題だった、とすら舛添氏は言う。
「発火点は韓国人学校問題だと思う。一部マスコミがことさら取り上げ、右翼の街宣車は『国辱外交だ』と騒ぎ、あれから公用車や別荘の問題などを週刊誌が書き立てはじめたんですから」(舛添氏)
それが真実なのかどうか、私は判断の術を持たない。ただ、かつて保守の国際政治学者として頭角を現し、都知事の座に就いた舛添氏に右派からの攻撃が加えられるのは、右傾化していると指摘される日本の現状を象徴しているようにも思う。舛添氏もこう言う。