しかしビル型納骨堂はそのあり方を覆す。一棟のビルに数千から1万もの骨壺を収容し、高級マンションを思わせる1階エントランスを通ると、まるで宮殿のような“参拝スペース”が現れる。

 そこに遺族がICカードをかざすと、ベルトコンベアなどで遺骨が祭壇中央に運ばれてきて、「自分たちだけの豪華な墓所」が一瞬にしてできあがる。

 参拝を終えて遺族が立ち去ると、遺骨は再び収納スペースに戻される。祭壇は引き続いてやってきた別の遺族のICカードからまた別の遺骨を中央に据え、次から次へと「別の家族の墓」に姿を変えて、多くの人々のお墓参りを受け付けるのだ。

「このビル型納骨堂がいま、飛ぶような勢いで売れている」

 と証言するのは、東京都内のある寺院住職だ。

「普通の墓地より圧倒的に(売れ行きの)動きがいい。ましてや従来のコインロッカーのような納骨堂なんてお話にならない。どこも高級マンションか宮殿のように豪華な設備で、『お墓=暗い』というイメージを払拭している。また遺族たち自身でお墓の掃除をしたりする手間も発生せず、この手軽さも人気の要因。交通アクセスの便利な、都心にある施設だと完売も珍しくない」(同前)

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