元経産官僚で政策コンサルタントの原英史氏はこう解説する。

「処方箋なしで医療用医薬品を売る店が出てきたら、多くの医師にとっては受診しに来る患者が減るので困ります。薬剤師としても処方箋を受け付けることで発生する調剤基本料を受け取る機会が奪われる。新しい業態の薬局の登場は望ましくないわけです。

 役所にとっても今の仕組みは都合がいいはずです。法律で定められていないことを役所が通達などで指導する仕組みは、“OKかどうか”を役所の裁量で決められる状態であり、行政が大きな権限を保持できている状況なのです」

“薬をどう売るか”を巡っては、一般用医薬品(市販薬)のネット販売解禁を巡って医師会や薬剤師会が強硬に反対してきた経緯も記憶に新しい。もちろん、命や健康にかかわる問題だからこそ、慎重な考え方も必要だろう。

 ただ、現行の仕組みや規制は、患者のためのものになっているのか。新たな業態の薬局が投げかける問いの意味は大きい。

※週刊ポスト2017年6月30日号

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