運命の日は目前に迫ってきた──。6月28日午前10時から幕張メッセの国際展示場ホールで行なわれる東芝の株主総会。
5月15日に監査法人の「意見不表明」のまま発表された2016年度の当期純損益は、日本の製造業として史上最大の9500億円の赤字。同社は5400億円の債務超過に陥った。監査法人との調整はつかず、法定期限である6月末までに有価証券報告書を提出することは絶望的で、東証1部に上場する東芝株は8月1日付で東証2部に降格することが決まった。
その総会を前にして不穏な空気が漂った。6月17日、米国の議決権行使助言会社グラス・ルイスが一部の株主に対して、東芝が提案する綱川智社長ら9名の取締役の再任案に反対するよう推奨したと報じられたのだ。コーポレート・ガバナンスに詳しい牛島信弁護士が解説する。
「助言会社は契約する機関投資家に議決権行使についてアドバイスする立場にある。グラス・ルイスは米国でも大手の助言会社のひとつで、日本での影響力も強まってきている。機関投資家にとって大きな判断材料となることは間違いない」