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「睡眠負債」の恐ろしさ 自覚症状ないまま脳にダメージ蓄積

寝不足が借金のように積み重なる「睡眠負債」とは

 毎日1~2時間の寝不足が借金のように積み重なり、やがて“債務超過”に陥ると、がん、認知症などをはじめとする重大な疾病を発症させる。それが「睡眠負債」だ。脳神経科学などを専門とする枝川義邦・早稲田大学研究戦略センター教授が解説する。

「もともとは米国の睡眠科学の専門家が『Sleep Debt』という用語を提唱しました。それが『睡眠負債』と直訳されて、近年は日本でも使われるようになってきた。

 たとえ毎日少しずつであっても、適切な睡眠時間を確保できていないと、脳の機能が衰えるなど体に深刻な問題が起きると警告する意味も含めた言葉です」

 6月18日に放送された『NHKスペシャル』でも〈睡眠負債が危ない~“ちょっと寝不足”が命を縮める~〉と題してこの問題を大きく取り上げ、話題を呼んでいる。

 徹夜が健康に悪いのは直観的に理解できるが、ちょっとした寝不足に対して、あえて警鐘を鳴らす必要があるのだろうか。前出・枝川氏は、「睡眠負債を積み重ねることは、むしろ徹夜よりも問題がある」と指摘する。

「2003年にペンシルバニア大の研究者らが行なった実験の結果から、そのことがよくわかります。被験者を徹夜(3日連続)、4時間睡眠(14日間連続)、6時間睡眠(同)、8時間睡眠(同)の4グループに分け、脳の認知力を計るテストを毎日実施したところ、6時間睡眠を2週間続けたグループはテストの結果が徹夜明けの被験者と同程度になってしまったのです。

 つまり6時間の睡眠では“負債”がどんどん積み重なっていくわけです。さらに問題なのは6時間睡眠の人には“寝足りない”という感覚がないことです」

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