これだけでも十分、大変なのに衣香を取り巻く人間関係は、もっと大変。中でも強烈なのが、衣香の家の離れでベリーダンスの教室を開いている姑の千鶴子(高畑淳子)だ。千鶴子は「顔とおっぱいは女の命!」などと言い放ち、誠の帰りが遅いのは、家庭が楽しくないからだなどと衣香にチクチクと嫌味をぶつける。実は千鶴子は血のつながらない義理の息子誠を男として愛しているのだ。
スキがあれば、誠の手を握り、妄想の中で、好き!とばかりに唇突き出して、幻の誠に突進する千鶴子。普段からベリーダンスのセクシー衣装をひらひらさせながら、ステップを踏んで現れる。裾が広がったぴったりしたパンツで髪をなびかせて激しく踊る姿は、懐かしい誰かに似ていると思ったら、ウララ~と歌った山本リンダだった。まさに、どうにも止まらない勢い。高畑淳子は、こうでなくっちゃ。
先日はなんと、衣香の親友の杏子(三浦理恵子)が、誠と八年越しの不倫相手であると発覚。千鶴子は門のすき間から、その事実をつかむと、ホームパーティーを開いて、衣香一家と杏子と二股愛の若い恋人のカップル、おまけに樹まで招待するのだった。これはいったい、何角関係なんでしょうか?
不穏な空気がムンムンするパーティーで、全員が作り笑いをしながら、杏子が「コミットできないなら、離婚したほうがいい」と言えば、千鶴子は「二番目に好きな人と結婚したほうがいいんですってよ」などと語り合う。一方、衣香は、樹への思いを募らせ、自分が思ったことを家族に言えるようになったのは「屋根裏から見守ってくれるから」などと樹に感謝。すると樹も「屋根裏のストーカーも捨てたもんじゃない」…って、屋根裏に男がいることがなんだかいい話みたいになってるよ!
数々の昼ドラマで知られる東海テレビ制作で、複雑なわりに意外にドロドロ感がないのも、新感覚といえるかも。千鶴子の激烈ステップが、次は何を蹴散らすのか。彼らが放つ名言とともに目が離せない展開が続く。