「今の選手は月間600~700kmくらいしか走っていない。2時間10分程度だったらそれでもいいんです。でも僕が言ってるのは、6分、5分のレベル。それには少なくとも1000kmくらいは走らないと無理です」
それがマラソンの基本である。ただ以前から、距離を走れという旧世代と、もっと別の練習方法があるのではないかという新世代との間で、考え方のギャップがあったのも事実だ。現場を取材すると、それはますます広がっている感さえある。
「もっと距離を踏めと言うと、瀬古さんたちの練習は古いと言われるようになってきました。この前も雑誌で若いコーチが言ってましたよ。彼ら、何もわかっていないなって思うことはよくあります」
【PROFILE】せこ・としひこ/1956年、三重県生まれ。早稲田大学時代に恩師・中村清氏に出会う。箱根駅伝2年連続区間新記録。マラソンでは福岡国際3連覇をはじめ、15戦10勝。五輪には2度出場。引退後は、エスビー食品などでの指導を経て、2013年4月にDeNAランニングクラブの総監督に就任。
※SAPIO2017年8月号