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連載再開の『ギャラリーフェイク』、作者が今注目する画家は?

フジタとサラのその後の恋仲も気になる(『ギャラリーフェイク』より)

 近年、伊藤若冲などの日本美術や、ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」など、古今東西の多くの美術作品が注目を集めている。人々がアートに興味を持ったきっかけは様々だろうが、コミックを契機にその面白さを知った、という人も少なくないだろう。

 そうしたアートコミックの代表格が『ギャラリーフェイク』(細野不二彦・作)だ。同作の主人公は、かつて世界的に凄腕キュレーターとして名を馳せ、確かな審美眼と神業の修復技術を持つのに、今は東京でしがない贋作画廊を経営する男・フジタ。その実態は美術品の盗品や横流し品を業界の裏で扱う“闇の美術商”という設定だ。 

 同作は2005年、世界で最も知られた絵画「モナ・リザ」の未公開絵を追うラストで一度完結したが、2012年に人気マンガ家10名が集結した東日本大震災のチャリティ企画「ヒーローズ・カムバック」の第1弾として7年ぶりに復活。被災地でフジタが活躍する社会派な一面が描かれて話題となった。その後も「週刊ビッグコミックスピリッツ」35周年記念の読切企画などで不定期に発表してきたが、そうした中で、同作がなんと連載再開、新章の第1話は7月14日発行の「ビッグコミック」8月増刊号に掲載された。

 作者の細野不二彦氏は連載再開にあたり、次のように語った。 

「『ギャラリーフェイク』という作品はいわばアート業界の“つまみ食い”を楽しんで頂く作品。アートは古今東西とても広い世界で題材が豊富で、漫画家としてはありがたいジャンルです。

 ですが、2005年のタイミングで自分としてネタが尽きてしまい、一度、完結することにしました。その後、他の作品を描きながらもアートに関する勉強を続けていましたが、今年になってまた、2か月に一度ペースでならと連載を始められると思ったのです。

 最近は特に、連載していた頃より、世の中に“フェイク”という言葉が広く流通してきた気がします。なりすましとか、虚構の新聞、ですとか、世の中、けっこうフェイクに囲まれている。だからこそ、この作品が再開しても許されるんじゃないかな、と思ってます」 

 新章第1話のテーマはイタリアが産んだ巨匠「カラバッジョ」だが、同作はこれまでも、古今東西の美術品時計やブリキの玩具まで扱うそのジャンルの幅広さが魅力のひとつとなっている。特に、近年は日本画ブームともいわれるが、そうした中で細野氏が注目している画家は誰か。

「いわゆる大家だけでなく、明治から大正にかけてのマイナーな作品にも面白いものが多いと思います。例えば、川瀬巴水(はすい)。版画家で知る人ぞ知る存在ですが、スティーブ・ジョブズも好んだと言われています」

 川瀬巴水は、大正・昭和期に活躍した浮世絵師、版画家で、日本での知名度はあまり高くないが、海外での評価は非常に高い。こうした画家が今後『ギャラリーフェイク』でも取り扱われることになるのか、ファンとしては興味が尽きない。

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