一方、王者・日曜劇場が夏ドラマに選んだのは、韓流ラブストーリーのリメイク。これまで支持を集めてきた「熱い男たちの物語」ではなく、「愛憎渦巻く男女と母子の物語」だったのです。
もともとラブストーリーは視聴者層を限定しがちですが、さらに『ごめん、愛してる』は、生き別れ、裏社会、銃撃、児童養護施設、心臓の病気、脳の障害、余命わずかなど、「いかにも韓流」という非日常な設定がてんこ盛り。好き嫌いがはっきり分かれる作風になったことで、特にこれまで日曜劇場を支えてきた男性視聴者が難色を示し、「今回は『警視庁いきもの係』を見よう」という流れが生まれはじめています。
面白いのは、『警視庁いきもの係』の須藤友三(渡部篤郎)と『ごめん、愛してる』の岡崎律(長瀬智也)が、どちらも「頭部に銃弾を受けている」という偶然の一致。主人公に同じ設定があっても、前者はコミカル、後者はシリアスと、真逆なシーンに反映させているところが、作品のムードを象徴しています。
◆一家団らんのムードを作った、かつてのフジ日9