最後にもう1つ、ふれておきたいのが、フジ日9として1979年10月~1990年3月に放送されていた『花王名人劇場』と、1990年4月~1996年9月に放送されていた『花王ファミリースペシャル』。どちらも『裸の大将放浪記』などのドラマだけでなく、漫才や落語などの演芸を交えた週替わり企画を放送していましたが、「ほっこりとした笑いで一家団らんのムードを作る」というコンセプトは共通していました。
その後、フジ日9は、『発掘!あるある大辞典』『メントレG』『エチカの鏡』を経てドラマ枠になり、再び『あすなろラボ』『全力教室』『ワンダフルライフ』『オモクリ監督』『日曜ファミリア』を経て、現在のドラマ枠に戻るという歴史を歩んでいます。こうして『花王名人劇場』以降の流れを見てみると、笑いに重きを置いた番組は『オモクリ監督』くらいしかありませんでした。
秋以降にどんな番組を放送するにしても、「一家団らんにつながる笑い」への原点回帰が「打倒!日曜劇場」につながっていくのかもしれません。その意味でも、『警視庁いきもの係』の癒しを感じさせる笑いに注目してみてはいかがでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。