ライフ

油で揚げてソースをかける? 謎だらけの「そうめん」調理法

そうめんが旨い!(写真:アフロ)

 そうめんが一般的に食べられるようになったのは、江戸時代からという。それから長く私たちの夏を美味しくしてくれたが、昭和初期には謎の調理法もあった。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が語る。

 * * *
 2年前の夏、本稿でそうめんに触れ、「うだるような暑さの『うだる』とは『茹だる』と書く」と書いた。そして梅雨明け目前(本稿執筆時点)、今年もまさしく「茹だるような暑さ」に襲われており、ついついそうめんに思いが及んでしまう。

 そうめんがいまのように誰もが口にできる麺として普及したのは江戸時代だと言われている。コメよりも日照りに強い麦。その麦を使って乾麺を作るのだから、平時はもちろん飢饉に備えての保存食にもなる。室町時代までは温かいにゅうめんとして食べられていたのが、江戸時代の中期、18世紀中頃には冷たい麺として夏の風物詩となっていったという。

 では明治以降はどうか、明治以降の朝日新聞の過去記事を調べてみると、意外にもそうめんから見えてくる世の中もある。

 最初に登場するのは1881(明治14)年7月のこと。大阪版の「近日商況」という欄で、向こう数日~数週間程度のそうめん市況の予測を立てている。少なくとも大阪ではそれなりの需要があったということのようだ。

 実際、その2年後の1883(明治16)年7月、やはり大阪版に日野安という店の「冷そうめん 一人前代 一銭五厘 三銭五輪」、その他「かやくもの色々菓子碗御膳代五銭」という広告が出されている。この頃、東京版では編集記事、広告記事含め、まったくそうめんが取り上げられていなかったことを考えると、当時のそうめんは関東よりも関西で生活に根ざしていたと考えられる。

 それもそのはず、そうめんの名産地は播州(兵庫)、三輪(奈良)、小豆島(香川)、備中(岡山)など関西圏。もちろん関東へ流通していたにしても、広告や記事を出すほどの存在感はなかったということなのだろう。

 その後、そうめん相場の記事などがたまに掲載されるものの、明治から大正にかけて紙面に掲出される「そうめん」の文字は製麺機械メーカーの広告が中心となる。さらに1923年の関東大震災以降、こうした広告すらも紙面でみかけなくなった。

 その後、1929(昭和4)年には、家庭用のレシピが紹介されるようになる。明治、大正と外食文化が花開きかけたときに起きた関東大震災に加え、同年に起きた世界恐慌の影響などもあり、ライフスタイルが緊縮していく。内食志向も強くなり、新聞紙上にもそうめんのような保存が効き、安価で簡便な素材を使ったレシピが増えていった。紙面上にも読者投稿レシピが掲載されるようになる。

 もっともこの頃、紹介されたレシピには、不思議なものも少なくなかった。食文化が一定の断絶を迎えた直後なのだから無理もないが、その象徴的なレシピが同年7月9日の紙面で紹介された「支那そうめん 美味しい料理法」だ。

関連記事

トピックス

サンシャインシティ文化会館を訪問された佳子さま(2026年1月30日、撮影/JMPA)
《メイク研究が垣間見える》佳子さま、“しっかりめ”の眉が印象的 自然なグラデーションを出す描き方、ナチュラルなアイシャドウやリップでバランスも
NEWSポストセブン
ハナ被告の相次ぐ麻薬関連の容疑は大いに世間を騒がせた(Instagramより。現在は削除済み)
《性接待&ドラッグ密売の“第2の拠点”をカンボジアで計画か》韓国“財閥一族のミルク姫”が逮捕、芸能界の大スキャンダル「バーニング・サン事件」との関連も指摘
NEWSポストセブン
選挙を存分に楽しむ方法とは(写真/イメージマート)
《盛り上がる選挙戦》大人力を発信するコラムニストが解説する「“危険な落とし穴”を避けつつ選挙を楽しむ方法」とは?「政見放送に勝手にツッコミ」「みっともない人を反面教師にする」
NEWSポストセブン
アワードディナーに初めて出席した真美子さん(提供:soya0801_mlb)
《鎖骨見せワンショルで“別人級”》大谷翔平の妻・真美子さん、晩餐会ファッションで見せたジャパン推しの“バランス感覚”【専門家が解説】
NEWSポストセブン
新しい本屋ができたと喜んだが……(写真提供/イメージマート)
コンビニすらなかった郊外や地方に新規開店するポツンと書店、ビデオ試写室が併設されるケースも 子供から「何が見られるの?」と聞かれ親は困惑
NEWSポストセブン
インフルエンサーのニコレッテ(20)
《南米で女性398人が誘拐・行方不明》「男たちが無理やり引きずり出し…」メキシコで人気インフルエンサー(20)が生きた状態で発見される【生々しい拉致映像が拡散】
NEWSポストセブン
公用車事故で乗客が亡くなったタクシーの運転手が取材に応じた(共同通信/hirofumiさん提供)
「公用車の運転手は血まみれ」「お客様!と叫んでも返事がなく…」9人死傷の公用車事故、生き残ったタクシー運転手が語った“恐怖の瞬間”「官僚2人がストレッチャーで運ばれていった」
NEWSポストセブン
およそ4億円を強奪した”黒ずくめ”の3人組はいったい何者なのか──(時事通信)
《上野・4億円強奪事件》「『キャー!!』と女性の悲鳴も」口元を隠した“黒ずくめ3人衆”が道路を逆走し暴走、緊迫の一部始終と事件前から目撃されていた「不審な車両」
NEWSポストセブン
女優・唐田えりか(Imaginechina/時事通信フォト)
唐田えりか(28)が「撮影中に感情移入して泣き出してしまった」背景とは…訴訟映画『恋愛裁判』の撮影現場で見せた“並々ならぬ思い
NEWSポストセブン
市川中車(右)と長男の市川團子
《大河ドラマに大抜擢》香川照之が導いた長男・市川團子と小栗旬の共演 作中では“織田信長と森蘭丸”として主従関係を演じる
週刊ポスト
SixTONES
《デビュー6周年》SixTONES&Snow Manの魅力を山田美保子さんが分析「メンバーそれぞれに“強み”がある」「随所で大きな花を咲かせたのはジュニア時代からの努力の賜物」
女性セブン
送検のため警視庁本部を出る佐藤伸一容疑者(右:共同)
《“色白すべすべボディ”の“ちっちゃい峰不二子”に…》「金もってこい!!」カリスマ東大教授が高額おねだりで収賄疑い…夢中になった”バニーガール風俗”の実態
NEWSポストセブン