史上初の大阪対決となった今春のセンバツ決勝では、履正社は2000年代から雌雄を競ってきた大阪桐蔭に8対3で敗れた。
大阪2強は、そのまま全国の2強である。舞洲スポーツアイランド内にある大阪シティ信用金庫スタジアムで争われる決勝の勝者が、もっとも日本一に近い学校だ。だが、夏の大阪大会に限っては、履正社は大阪桐蔭に9連敗中という不吉なデータもある。
「苦手意識はない。選手は毎年変わっていますから。最終的なチームの仕上がりで、大阪桐蔭に劣っているというだけです……」
大阪桐蔭の中心となるのは、中学時代に最速146キロを記録し、入学後は投手だけでなく、内外野も守る“多刀流”を貫く根尾昂や、センバツ決勝で2本塁打を放った1番打者の藤原恭大ら2年生たちだ。岡田監督が嘆息する。
「足(50m・5秒7)のある藤原を出したら、盗塁があるので、二塁打を打たれるのと一緒。投手陣もエースだけでなく、2年生が安定している。仕上がり具合は(監督の)西谷(浩一)君の思い通りに進んでいるんとちゃいますか?」
春季近畿大会を制した際、大阪桐蔭の選手たちに喜ぶ素振りはなく、まるで練習試合が終わったかのように平然と整列した。直後、選手を集めた西谷監督は、こう告げた。