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名字の誤解 「江戸時代まで庶民には名字がなかった」はウソ

江戸時代の庶民は名字を持っていたのか否か

 NHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演する森岡浩氏は、姓氏研究の第一人者であり、これまで研究されてこなかった庶民の名字の歴史や意味を解明した功績で知られる。

 近著『名字でわかる あなたのルーツ』を上梓したばかりの森岡氏監修の下、日本人なら知っておきたい名字の常識を紹介しよう。

 小学校の社会の時間に、「江戸時代には武士だけが名字を持っていた」と習った人は少なくない。これが名字に関する誤解の最たるものだ。

 実は社会の教科書には「武士以外は名字を名乗ることができなかった」と書いてある。しかし、この表現から「名字はあったけれど、公的に名乗ることを禁止されていた」ということを、社会が専門でもない小学校の先生に理解させるのは無理だろう。庶民の名字について誤解したまま子供に教えてきた先生たちも多かったのである。

 実際には、室町時代にはすでに農民は名字を持っていた。最も古い記録は、和歌山県紀の川市粉河の王子神社に伝わる名つけ帳である。

 新生男児の名前を記録したこの帳簿は室町時代の文明10年(1478年)以来一度も途切れることなく現在まで続いている。そこには名前の上に農民たちの名字が記入されている。同地が特別な地域であったと推測する事情はなく、当時から農民が名字を持っていたことを示す証拠といえる。

※週刊ポスト2017年8月4日号

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