芸能

文豪・永井荷風も通い詰めた「浅草ロック座」の70年史

1950年、楽屋で踊り子に囲まれる永井荷風(写真:共同通信社)

 1945年3月、大空襲によって東京・下町は一面焼け野原となった。そのわずか2年余り後の1947年8月、戦後復興も緒についたばかりの浅草で、現存する最古のストリップ劇場・ロック座が産声を上げた。以来70年、荒波を乗り越え今も多くのファンを集める。

 劇場の名付け親は、宇都宮で映画館を経営していたロック座初代社長・草野稲穂。当初、浅草六区にあった映画館の再建を託された草野だったが、旧知の東宝社長・秦豊吉の「時代はストリップだ」のひと言で方針を変更、「六区(ろっく)だからロック座」と名を決めた。

 かけそば一杯が15円の時代、入場券は70円と安くはなかったが、入口には長蛇の列ができた。

 その中に『断腸亭日乗』で知られる文豪・永井荷風の姿もあった。荷風はやってくると楽屋に直行、踊り子相手に雑談に興じ、ショーが始まると客席ではなく舞台の袖から眺めた。1948年頃から文化勲章を受章する1952年まで通いつめた。

「その後、ストリップはレビューの要素を取り入れた豪勢な出し物と関西系に代表される露出度の高いショーの2極化が進み、ロック座は日舞のショーにコントを挟むスタイルで人気を得ました」(ロック座・齋藤恒久現会長)

 浅草はストリップ全盛期を迎え、劇場は12軒を数えた。目の肥えた常連客に揉まれ、渥美清や萩本欽一、坂上二郎、ビートたけしをはじめ、多くの喜劇人を輩出、ジプシー・ローズや一条さゆりなど人気ダンサーを次々と世に送り出した。

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見なえい恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン