登場回数はまだそれほど多くないキャストも、この後の展開で何かとんでもないことを起こしそうな雰囲気をすでに感じさせています。元子に嵌められた銀行員を演じる滝藤賢一さん(40)なんかは、出てくるだけで「ただごとでは済まないな」という空気になる。予備校理事長を演じる高嶋政伸さん(50)も、独特の怪しさがあって“冬彦さん”を彷彿させるところがあります。伊東四朗さん(80)はまさに政界のフィクサーという感じ。「いかにもな感じだなあ」と思いますね。江口洋介さん(49)演じる代議士秘書も、腹に一物ありそうですね。亡くなった議員の地盤を継いで秘書が立候補するというくだりは、故・中川一郎氏と鈴木宗男さんの関係をなぞっているかのようです。
派遣銀行員が1億8000万円の横領をして銀座のママになるという、現実離れした設定ながらも、話の節々に現実とリンクする場面があるのが今回の『黒革の手帖』の見どころだと思います。
今後のストーリーの展開として、元子に嵌められた人たちの復讐が始まるでしょうが、脇役といっても一人ひとりが濃いエピソードを持っていそうなキャラばかりなので、一筋縄ではいかないと思います。何も持たない元子がゼロから這い上がり、叩き落されてはまた這い上がる。そののぼりくだりの人生を視聴者も楽しむというドラマ。個性的なキャラたちが次はどんな波乱を巻き起こすのか、いろんなパターンが考えられるので最後まで目が離せません。