男性は結果的に、「降圧剤」「咳止め」「別の咳止め」の3つの薬を服用することになった。何が起こったのか。前出・宇多川氏がこう推測する。
「男性が咳き込むようになったのは降圧剤の副作用だった可能性があります。それを抑えるために服用した咳止めのせいで今度は便秘になり、さらに3種の薬が相互作用を起こしてしまい、意識混濁を生じさせた可能性があります」
高齢化が進む現在、増え続ける認知症患者の処方カスケードも懸念される。たかせクリニック理事長の高瀬義昌医師が話す。
「認知症の患者は高齢者が多いために、様々な疾患を抱えているケースが多く、複数の診療科で薬を処方されていることがほとんどです。
10~20種類の薬を飲んでいることも珍しくありません。そのうえで認知症の周辺症状である徘徊や抑うつなどを防ぐために、抗うつ薬や抗精神病薬、睡眠導入剤といった『向精神薬』を処方されることが多い」
※週刊ポスト2017年8月11日号