筆者は韓国留学の1970年代から韓国の映画やテレビドラマを観てきた。夏の8・15モノというと90年代中ごろまでは「日韓和解の試み」みたいなものも結構あったが近年はそんな迂遠な(?)話はなく、勇ましい韓国人が日本を痛めつける話がもっぱらだ。
というわけで日韓ともども毎年8月は歴史回顧の季節だ。そこで筆者も今年はそこに加わらせてもらおうと一冊の本を出版した。
『隣国への足跡/ソウル在住35年 日本人記者が追った日韓歴史事件簿』(KADOKAWA刊)で、筆者の個人的体験を盛り込んだ激動の日韓歴史物語であるが、「これまで日本はこの隣国にいかにかかわったか」を探ることで今後の付き合い方を考えた。結論的にいえば「相手は永遠に隣にいる。関心は大いに持て。しかし深入りするな」である。
尊敬する櫻井よしこさんが最近、『週刊新潮』(6月8日号)の連載コラムで「白村江の戦い、歴史が示す日本の気概」として古代7世紀、日本が百済支援のため朝鮮半島で唐・新羅連合軍と戦った故事を高く評価していた。
こうした朝鮮半島をめぐる「日本の気概」は13世紀の元寇、16世紀の文禄・慶長の役(壬辰倭乱)、日清・日露戦争、韓国併合、満州建国、大東亜戦争、朝鮮戦争にも関係しているのだが、その「気概」が「深入り」となって結果的に日本に禍をもたらしたことも一方で念頭に置かねばならないと思う。