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2017.08.17 18:00  週刊ポスト

山田太一氏 脳出血で事実上の断筆宣言「もう原稿書けない」

「19世紀のイギリスの小説家、ジョージ・ギッシングが書いた『ヘンリ・ライクロフトの私記』にたくさんの付箋を貼っていました。おそらく次の作品のための作業だったのでしょう」(和子さん)

 この作品は、長い貧困生活の後に偶然、知人の遺産を得て、初めて安息の日々を送ることが可能になった初老の作家・ライクロフトが、自然豊かな田舎での隠遁生活を綴ったものである。ライクロフトは架空の人物で、当時、執筆活動に忙殺されていたギッシングの憧れが投影されているといわれている。

 だが、和子さんの言葉を山田氏はこう遮った。

「次の作品だなんて……昨年の暮れにある作品を書き終えて、“来年は遊ぶぞ”と思っていたんです。僕はこれまでずっと仕事、仕事でやってきたので。ところが、“さて、いよいよ遊ぼう”という時に病気になってしまったから、遊ばせてもらえない(笑い)。人生、なかなか思い通りにならないですね」

 現在、山田氏は「時々、記憶が飛んでしまう」、「思ったことを上手く表現できない」という状態で、執筆はおろか、多くのメディアの取材を断わっているという。しかし、悲観した様子は見せない。

「人生は自分の意思でどうにかなることは少ないと、つくづく思います。生も、老いも。そもそも人は、生まれたときからひとりひとり違う限界を抱えている。性別も親も容姿も、それに生まれてくる時代も選ぶことができません。生きていくということは限界を受け入れることであり、諦めを知ることでもあると思います。でも、それはネガティブなことではありません。

 諦めるということは、自分が“明らかになる”ことでもあります。良いことも悪いことも引き受けて、その限界の中で、どう生きていくかが大切なのだと思います」

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