芸能

姫乃たま 性被害告白した元AV女優自伝に「私も救われた」

自伝『よわむし』で性被害や依存症について告白した大塚咲さん

 元人気AV女優の大塚咲さんが自伝『よわむし』を世に送り出してから、約1か月が経ちました。レイプに遭ったことからPTSDを発症し、依存症にも悩まされながら、死んでしまった心を取り戻すために大胆な行動をとり続けた日々を振り返ったこの著書は、大きな反響をいまも広げています。決して好意的ではない言葉にも「どうして書こうと思ったんだろう?」と好奇心をつのらせる大塚咲さんに、旧知の仲である地下アイドルでライターの姫乃たまさんが、出版後の反響と、心に傷を負って苦しむ人たち届けたい大塚さんの思いをきいた。

 * * *
 写真家で画家の大塚咲さんが、自伝本『よわむし』(双葉社)を出版しました。

 15歳の時にレイプ被害に遭い、AV女優としての活動期間を経て、どのように現在に至ったのかが、本人の言葉で克明に記されています。まず驚いたのは、人は思い出したくないほどの辛い記憶と、これほどまで誠実に深く向き合えるのかということでした。

 絵描きと写真を仕事にしている大塚さんに対して、私は物書きを生業としているのですが、ここまで心の奥底を文章に出来ない自分が情けなく、ずるい人間に感じられたほどです。文章を書くのは自覚的な行為なので、立ち直れないほどの傷を負う前にどこかで自衛してしまいます。

 一方、ひとりの女性としても、『よわむし』は共感するところが多くありました。私はこどもの頃から、見知らぬ男性が自宅や公衆トイレに付いてきてしまうことが何度もあって、性的な目で見られがちだった未成年の大塚さんのエピソードには、過去の記憶を思い出させられました。

 通学電車で痴漢に遭い、学校では男性教師から告白されて、怖いと思っても当時の私は恐怖を訴えることはできませんでした。自意識過剰だと思われるのも、私なんかが騒ぎ立てることで相手の家族に迷惑がかかるのも怖かったのです。『よわむし』を読んでいたら辛かったことを思いだして、子どもに戻ったように頭が痛くなるまで泣いてしまいました。辛かった気持ちを、辛かったと認められたことで、やっと私は救われたのです。

 しかし、大塚さんはどうしてこんなに辛い過去と向き合うのでしょうか。

 大塚さんはAV女優として活躍していた頃から、いつか自分の体験を伝えたいと思ってレイプ作品に出演することを避けていました。しかし、出演した作品が二次使用されて、レイプ作品の総集編として発売されてしまうことが度々あって、強い拒否反応と悔しさから何度も泣いたと言います。

 辛い日々から時間が経ったとはいえ、『よわむし』の執筆も楽な道のりではありませんでした。傷を乗り越えるまでの日々と、その時々の思考を思い返して文章にする作業は辛く、ひどい目眩を起こして寝込んでしまう日もありました。それでも、大塚さんがこの本の出版を諦めることはありませんでした。

 自分と同じ境遇にいる人や、その周囲の人々、そして加害者やその関係者になってしまった人に届けたい気持ちがあったからです。

「加害者は悪い人間だから、どんなにひどい扱いをしてもいいみたいな風潮に疑問があるんです。誰も被害者や被害者の家族になることがあってはいけないけど、加害者になった人だって、最初から悪いことをするために生まれたわけではなくて、そこに至るまでにいろんなことがあったはずです。私はこの件に関しては被害者ですが、事件に遭ってすぐ、加害者がどうしてそうなってしまったのか考えなければいけないと思いました」

 大塚さんの心は、被害に遭った15歳の日に一度死にました。だからこそ、辛い日々を乗り越えて、この世界で生き抜こうと考えたのです。その日まで普通に存在していたはずの、自分の将来まで加害者に奪われないように、同級生と同じように恋愛だって楽しもうと思いました。

関連記事

トピックス

大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン