広場に設置された像は、昨年8月に民主労総などが京都市内のマンガン鉱山跡に設置したものと同じデザインだった(『SAPIO』5月号参照)。肋骨が浮き出るほど痩せた上半身裸の男性が右手に鶴嘴(つるはし)を持ち、左手を顔の高さまで上げている。
この像を取り囲むように建てられた4本の石柱には、徴用工の出発駅となったかつての龍山駅や徴用先での労働を写したレリーフが貼り付けられていた。制作者は言うまでもない。あのキム夫妻だ。
日韓関係に刺さったトゲとなった慰安婦問題を拡大再生産させる慰安婦像を次々と制作するばかりか、徴用工像まで手がけて新たな火種を作ろうとするのはなぜか。そのキム夫妻がこの日の式典に現れたのである。
◆「日本メディアは歪曲する」
夫のキム・ウンソン氏が壇上にあがって、制作意図を説明する。
「日本による強制徴用で北海道から沖縄まで各地で多くの同胞が労働に就かされ帰って来なかったのです。過酷な労働により亡くなった人は森の中で打ち捨てられ、目印として白いペイントをつけた木の棒が墓標代わりに建てられただけだったといいます。時間が経つと棒が朽ちてしまい、あらためて遺骨を探そうにもどこにあるのかも分からなくなりました。この像はその棒をイメージしたものです。ここに労働者たちがいるのですよ、と伝えるためです」