自動運転技術の開発で世界をリードしているのはアメリカのシリコンバレー(NVIDIAなど)とイスラエル(MOBIL EYEなど)で、日本はここでも大きな後れを取っている。
日本勢は、EVの基本技術であるモーターやインバーター、回生ブレーキ、蓄電池などについては、すでにHVやPHV(プラグインハイブリッド車。PHEVとも表記)にも搭載しているので、挽回不能な参入障壁があるわけではない。
しかし、HVやPHVで他社に先駆け、さらに世界初の量産型FCV(フューエル・セル・ビークル=燃料電池車)「MIRAI」を世に問うたトヨタや、同じく独自開発したHVからFCVまでを取り揃えるホンダなどのように、経営資源が分散していることが機敏な舵取りをできなくさせていると思う。
社内の上層部が内燃エンジンにこだわり続けていたり、今ある工場や部品メーカーを重視しすぎたりすることも、おいそれとシンプルなEVに重心をかけられない心理的な要因となっているのだろう。
しかし今は、社内の分散した投資や迷いを取り除くことが先決だと思う。実際、PHVは郊外での高速走行時や充電が足りなくなった時だけHVモードを使い、あとは基本的にすべて電池で走ることができるようになっている。それなら、もっとシンプルに「PHVは実質EVであり、真のエコカーである」というメッセージを強力に発信していくことで、EVに対するユーザーの不安を払拭し、テスラなどには真似のできない技術をアピールできる。
テスラと一度は手を組んだトヨタは、結果的に決別することを選択した。理由は、FCVの「MIRAI」をテスラのイーロン・マスクCEOに「フール・セル・ビークル(バカな車)」と揶揄されたからとも報じられている。だが、まさに今、「MIRAI」の未来が問われている。