スポーツ

元「中盆」板井氏が選ぶ相撲名勝負 史上初「3度の物言い」

元「中盆」が選んだ名勝負は?

 相撲好きな人ならば、誰しも必ず「忘れられない一番」があるはず。「中盆」として八百長相撲を仲介し、その実態を本誌で詳しく証言してきた元小結・板井(板井圭介氏)が選ぶ「心に残る一番」は、1988年夏場所初日の水戸泉対霧島戦だ。史上初の3度の物言いがついた名勝負について、板井氏が振り返る。

 * * *
 この一番を土俵下の控えで見ていたが、精根尽き果てるというのはこういうことだと思った。霧島の手が筋肉疲労から震えていたからね。長い大相撲の歴史の中でも幕内の取組で物言いが3度もついたのは史上初だったが、土俵下から審判と同じ目線で見ていても、確かに三番とも同体だったと思う。

 最初の一番は巨漢(194cm、164kg)の水戸泉が寄って、軽量(187cm、117kg)の霧島が土俵際でうっちゃった。行司は水戸泉に軍配を上げたが、同体で取り直し。これはよくあることだが、ここからが凄かった。

 2度目は逆で、霧島が寄り、水戸泉がうっちゃりで応酬した。軍配は霧島に上がったが、再び物言いがついて同体取り直しとなった。3度目は最初と同じく水戸泉が寄り、霧島がうっちゃり、今度は霧島に軍配。ところがこれにも物言いがつき、協議の結果、3度取り直しとなった。

 お客さんは大喜びだったが、水戸泉と霧島は土俵に上がるのも辛そうだった。4度目は水戸泉が寄りで攻勢をかけると、霧島が土俵際でまたまたうっちゃり。また物言いかと思ったが、軍配通り水戸泉の勝ち。最後は霧島が疲れていたのか腰から落ちていった。それでも勝った水戸泉が負けたと思って土俵を下りるほどの微妙な一番だった。当時の水戸泉はガチンコ相撲だったが、やはりガチンコは何が起こるかわからないので面白い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン