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謝罪会見にみる豊田議員の本質は「ダブルバインド」?

豊田議員の会見を臨床心理士が分析

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、豊田真由子議員の謝罪会見から、彼女の本音を読み解く。

 * * *
 元秘書へのパワハラ問題で自民党を離党した豊田真由子衆院議員が、騒動後初めて記者会見を開き謝罪した。ところがこの会見、終わってみると謝罪というより、彼女の言い訳を長々と聞かされた印象しか残らなかったのはなぜか?

 髪を切り黒く染めて、眉を平らにした落ち着いたメイクで黒いスーツを着て現れた豊田議員。つい先日、不倫疑惑で民進党を離党した山尾志桜里議員も黒いスーツで会見したが、黒は不安な時に自分を守り支えてくれる色。だが彼女の場合、黒色はそれだけでなく、自分の怒りや不満が外へ出ないよう、がっちり抑えるという意味もあったのだろう。

 会見冒頭、騒動について、元秘書とその家族に対し、そして関係者や支援者、国民に対して深々と頭を下げた彼女。自分が頭を下げる姿や目の前の報道陣を見たくなかったのか、こみ上げる感情を抑えようとしたのか、目をぎゅっと閉じ顔を上げたが、それぞれ口調は微妙に違っていた。元秘書へは「ご迷惑をおかけした」と言いながらも、声は小さく口ごもった感じ。「お詫びを」と言う前には一瞬、言いよどんだように唇が動いた。彼女の無意識では、瞬間的に元秘書に詫びるのをためらったのだろうか。だが関係者への謝罪は、声のトーンも大きく言葉もはっきりとしていた。

 暴言について聞かれると「あんな言葉を使うことは本当になくて」と身体を左右に大きく揺らし、「パニックになって」と額や前髪を触る。暴言や暴行について言い訳めいた説明をする度に、彼女は身体を揺らし、左手で顔や髪に触れた。人は嘘をついている時、手で顔を触ることが多くなると言ったのは動物行動学者のデズモンド・モリスだ。

 暴言を吐いたのは「本当の豊田真由子ではない」と言うと、左手を手刀のように身体の前に立て、その手を左横へ動かした。手を横に動かすことで、今の自分と切り離したかったに違いない。「あの異常事態で、あの異常なテンションで」と言った時は、左手で頭の上で空をつかむと、そのまま左にスライド。空をつかむことで、自分の意思と違っていたと強調したかったのか。この仕草は、デズモンド・モリスのいう「意図つかみ」に似ている。自分の意図に沿うよう話の方向をコントロールしたいという無意識の表れだ。

 それにしても「このハゲー!」は衝撃的だった。暴言音声や会見などのコミュニケーションパターンを見る限り、彼女は元秘書らに対しコミュニケーションにおける二重拘束状態、「ダブルバインド」を使っていたと思う。

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