広岡氏は、「巨人は優勝して当たり前、日本一になって初めて褒めてもらえる」という元オーナー・正力松太郎の教えのもと育った。だからこそ意見は辛辣だ。
「CSは白熱するといわれるが、その分レギュラーシーズンをつまらなくしている。1995年に11.5ゲーム差をひっくり返した長嶋巨人の“メークドラマ”も、優勝しなければならない状況だからこそできた。あのときもし“3位でもCSに出られる”という制度があれば、そんな奇跡など起こっていません。間違ったシステムが、野球をプロフェッショナルでなくしてしまっているんですよ。3位か4位かで笑ったり泣いたりする巨人なんて恥です」
筋金入りの巨人ファンながら、漫画家の黒鉄ヒロシ氏も手厳しい。
「そもそも3位チームが運良く日本一になることを下克上と呼ぶことがおかしい。コツコツ頑張って強敵との力関係をひっくり返したわけじゃなくて、単なる“棚ぼた”ですから。
ペナントを勝ちとったチームが日本シリーズに出られない。こんな理不尽なことはない。巨人、そして日本のプロ野球も、ダメなときはスッパリ諦めるという日本人ならではの武士道精神を大事にしたほうがいいんじゃないか」
もし巨人の日本一となれば、広島ファン、ソフトバンクファンの無念はいかばかりか──CSの問題点は数あれど、最後まで野球から目が離せなくなったことは間違いない。
※週刊ポスト2017年10月6日号