国内

小池都知事の手法は「しがらみ政治そのもの」ではないか

衆院選の公約を発表する小池氏 時事通信フォト

 小池百合子都知事と希望の党の雲行きについて、測りかねている人は多いだろう。都政に詳しいジャーナリスト・広野真嗣氏がレポートする。

 * * *
 小池都政誕生の立役者だった音喜多駿都議ら2人が5日に離党会見を行った際、「都民ファーストの会が10月半ばに政治資金パーティーを開催予定である」という実に興味深い事実を明かした。この1年の小池氏の行動と重ね合わせてみると、「希望の党」のキャッチフレーズである「しがらみ政治打破」どころか「しがらみ政治そのもの」の最後の1ピースがこれではまったようにも見えるのだ。

 5日の離党会見で2人が明かした小池知事の“不都合な真実”はいくつもある。代表ポスト決定過程が“ブラックボックス”なのも、“SNS規制”をするのも、いずれも小池氏が最大の影響力を行使する“創業者利益”を守るための仕組みとしてある意味わかりやすい。

 だが今回の「パー券」の存在は、意味が違う。小池氏の政治手法がいずれも古い自民党政治そのもの、あえていえば打破すると宣言している“しがらみ政治そのもの”であることを暴露していることになるからだ。

 確かに自民党政治家のパー券ではこの手の話はつきない。最近では下村博文・元文科相が在任中、学校法人である加計学園の秘書室長から政治資金パーティー券の代金計200万円を受け取った問題が取り沙汰されており(下村氏は「加計はとりまとめただけ」と主張)、行政をめぐって疑念を抱かせるような“政治とカネ”のやりとりは常態化している。

 こうしたことから民進党は今年4月、パーティー券を含む企業・団体献金を全面禁止して個人献金への移行を促す政治資金規正法改正案を国会に提出。特定の団体や組織に配慮して行政に無駄が生じたり歪んだりしないよう、一般の有権者の最大利益を重視し「政治とカネ」のあり方に一石を投じている。

 ただ、その民進党出身者が候補の過半を占める希望の党はというと、じつに曖昧なものだ。

 公認候補の条件となる「政策協定書」の文言は、「政党支部において企業団体献金を受け取らないこと」とあるだけ。個別の議員(政党支部)が団体献金を受け取ることを禁じてはいるが、党本部の場合はどうなのか、パーティー自体を禁じているかどうなのかも不明だ。「しがらみ政治打破」というその内実は、あやふやなものなのだ。

◆都民ファーストの会の場合

 今回の離党2都議の「パー券」発言は小池流の“政治とカネ”のあり方を考える上でとても具体的な手がかりを示した。

「10月14日に都民ファーストの会の政治資金パーティーがある。1枚2万円、各議員の実績によるノルマも課されている」(ともに離党した上田令子都議)

 あたり前だが、業界団体や地元の有力者から多くパーティー券を購入してもらった政治家は、購入した団体の意向を無視しづらい。「力のない政治家」として次からお声がかからなくなるからだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン