ライフ

「使いこなすのが難しい調味料」酢がようやく復権の兆し

酢はうまく使えば料理を抜群に引き立てる(写真:アフロ)

 10年間のデータの変遷を見るだけでも驚きを隠せない。食のトレンドはかくも大きいものだと実感させられる。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がレポートする。

 * * *
 醤油に味噌、日本人にとって欠かせない調味料はあまたある。酢もそのひとつ。日本食を象徴する鮨を例に挙げるまでもなく、餃子など身近な食べ物の調味にも欠かせない。

 にも関わらず、家計における酢への支出が近年、激減している。総務省の家計調査(総世帯)で酢への支出を見ると、2006年から2015年までの10年間で酢への出費は40%も少なくなっている。2006年には年間1288円を酢の購入に充てていたのに、2015年にはその金額は774円にまで落ち込んだ。

 2014年のミツカンの「和食と、和食に欠かせない調味料」調査でも、調味料のさしすせそ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)のなかで一番使わないのが酢(69.2%)という結果に。全体の約半数が「今後上手に使いこなしたい調味料」「使いこなすのが難しい調味料」として酢を挙げたという調査結果を踏まえ、使いたくないのではなく、使いこなすことができていない調味料だと位置づけている。

 では、酢をどう使うか。実は近年、新しい酢の使い方提案がメーカー、メディアを問わず行われている。

 例えば大手のミツカンがこの10年で主力商品に育て上げた「カンタン酢」はひとつの成功事例といえる。素材に加えるだけで、甘酢漬けや酢の物、鮨、ピクルスなどが作れるというアイテムで、売れ行きも好調。2014年には卓上型、2015年にはレモンの香りを効かせたタイプが登場し、今年は黒酢100%使用のバリエーションも加わった。同社では「飲料酢」という提案もしていて、果汁などで飲みやすく味つけをした黒酢やリンゴ酢も売れているという。

 そのほか、東京駅グランスタには飲料酢のスタンド、全国の百貨店にも酢やデザートビネガーを扱う酢の専門店が続々テナント入りするなど、酢の存在感はさまざまな形で増している。

 メディアにおける酢の使い方提案にも、新しい切り口のものが増えた。象徴的だったのが2015年にNHKの『あさイチ』で紹介された「ガストリック」。砂糖に酢などの酸味を加え、火にかけてカラメル化させたもの。これをソースの隠し味などに使うと味に深みが出るという。

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン