「これからはどうしてもネットと付き合っていかなきゃ無理な時代で、“いつ子供にスマホを買い与えるのか?”が、すごく身近な大問題だと思うんです。子供たちは色々と経験する中でネットとの付き合い方を学ぶしかないですが、多感な時期にSNSに触れるなんて想像しただけで恐ろしいですよね。そして大人だってみんな多感だと思う。感じすぎて、疲れている。
だから辛くなった時の逃げ場としてこういう電話屋さんがあってくれるといいな、と。ネットにつながらない電話への憧れはきっとある! と信じて描いています」
「スマホがないなんて考えられない!」というデジタル世代には響かないかと思いきや、連載開始直後から、多くの共感の声が寄せられているという。その理由を、前出の荻上氏はこう考察する。
「なかなかネットをオフにしがたい一方で、他人の振る舞いには過剰に関与する。そんな社会に疲れてしまった人も多いと思う。この作品は脱デジタルを謳う方向と、自分の気持ちをオープンに伝えても寛容に受け入れられるつながり方の両方を、魅力的に描いていますね」
この作品はもしかしたら、ネット社会にどっぷり浸かっている人にこそオススメと言えるのかもしれない。