「当時、教会から『ガラスがないと寒い』と言われて入れたけれど、元々私は入れたくなかった。だから今も教会に行く度に『取りませんか?』と持ちかけているくらいです(笑い)。でも、私の物じゃないからね。それで今回は、光だけでなく風も感じることのできる〈光の教会〉にチャレンジしました」

 聖堂内は静かに風が流れ、安藤作品に共通するテーマ“自然との共生”を体験できる空間が出来上がった。もはや展示物の範疇を超えた建築を前に、安藤は少年のように目を輝かせる。

「やっぱり挑戦せなあかん。人がやらなかったこと、自分がやりたくてやれなかったことを全部やりたいんです」

 たゆまぬ挑戦こそが安藤の矜持。今日も次なる目標に挑戦し続けている。

●あんどう・ただお/1941年、大阪生まれ。建築家。東京大学特別栄誉教授。独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。1979年、「住吉の長屋」で日本建築学会賞を受賞。1993年、パリ・ポンピドゥセンターにて個展開催。1995年には建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞。代表作に「直島 ベネッセハウス」(1992年)、「フォートワース現代美術館」(2002年)、「表参道ヒルズ」(2006年)、「プンタ・デラ・ドガーナ」(2009年)、「上海保利大劇場」(2013年)など。12月18日まで国立新美術館(東京・六本木)にて「安藤忠雄展─挑戦─」が開催中。

■撮影/佐藤敏和、取材・文/戸田梨恵

※週刊ポスト2017年10月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン