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千年前の医書、婦人病は男性疾病より10倍治療困難と指摘

医心方の概要が綴られた「『医心方』事始」(藤原書店)

 日本には有形文化財のうち、国宝に指定されているものが約1000件ある。そのなかで、日本に現存する最古の医学書とされているのが『医心方』だ。この6月に、概要書ともいえる「『医心方』事始」(藤原書店刊)が発売され、にわかに注目が集まっている。

《女性は嗜欲(たしなみ好むこと)が男性より多いので、男性の倍も病気に罹りやすい。その上、慈しみぶかく、恋の愛憎や嫉妬、憂いや深い恨みと怒りにこだわって、堅くしっかりとした気持ちを支えていることができなくなる》(以下、《》内は『医心方』・筑摩書房刊より引用)

「婦人諸病篇」と題された巻二十一第一章に、諸病の原因として綴られた言葉には、現代となんら変わらない女性のホルモンバランスの乱れや不安定さが色濃く浮かぶ。

《妊娠、出産による不調という特殊性によるものである。このために婦人の病気は、男性に比べて十倍も治療がむずかしい》(同)

 当時の女性は10代半ばでの結婚、出産が当たり前だった。

《早婚のため、腎気が確立しないうちに出産するので、腎臓をそこなうからである。このため(中略)若い女性が病気に罹ったのは、必ず治しにくいのである》(同)

 晩婚化と、それに伴う高齢出産のリスクが叫ばれる現代とのコントラストが実に興味深い。それでも、女性のもつ悩みは悠久の時を超えても変わらない。《月経不順の治療法》(巻五第十九章)には、こう綴られている。

《酒といっしょに桂の粉末を(中略)一日に二回服用せよ》(同)

 薬剤師で漢方サロン『アイカ製薬』の大久保愛代表が解説する。

「『桂』とは桂枝という生薬のことで、いわゆるシナモンです。カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンB群、ポリフェノールなどを含み、血行を改善する働きがあります。月経不順の原因はさまざまでしょうが、血の巡りをよくして良質な血液が卵巣や子宮に届くようにするという観点からは有効な手段でしょう」

※女性セブン2017年11月2日号

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