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人気漫画家が「読まなくていい」と言い放った異例の漫画

「当初のネームでは、夫婦の話を中心にやる予定だったんです。でも、いざ連載する頃には僕が離婚しちゃっていて。『じゃあ、漫画でも離婚した話を中心に描こう』ということで、ストーリーの土台を変えたんです」

 これまでの浅野作品と大きく違うのは内容だけでなく、キャラクターもリアルなことだ。

「『零落』のキャラクターには全てモデルがいるんです。もちろん漫画に落とし込むにあたり脚色していますし、実際とは違う部分も多いんですが。

 でもモデルがいる分、これまでの作品とは段違いに台詞作りが難しかった。ネーム作りは別格に時間がかかりました。例えば風俗嬢の子は、知り合いの夜の世界の娘がモデルなのですが、僕と連絡が取れなくなったのも現実と同じなんです。もし取れていたらストーリーも違ったかもしれませんね(笑)」

 なぜ、浅野氏はそこまで自分の生活や想いをさらけ出すのか。

「僕は、自分は青年誌作家の最後尾、アンカーだと思っているんです。自分の後ろには同じように時代を表すような青春漫画を描く人がなかなか出てこない。上手い漫画を描く人はいますが、“間違いがない”漫画なんです。

 僕は自分自身が10代のとき、青年誌の漫画を読んで育った。例えば大学生の生活とか、それに憧れて実際に体験したりして。漫画に影響されていたんです。やっぱり、僕はそういうのって必要だなと思う。それは漫画じゃなくて映画とかでもいいのかもしれないけど。自分は漫画家なので、若い人たちが自分の漫画に影響を受けてほしい。漫画なんかで人生って決まっちゃったりする──。その“罪”の片棒を担ぐのが漫画家らしい。僕はそう思うんです」

 次世代の漫画家への想いと同時に、読者に対して感じることもあるという。

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