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人気漫画家が「読まなくていい」と言い放った異例の漫画

『零落』では自身の周囲の出来事をさらけ出した

 映画化された『ソラニン』など多くのヒット作を生み出してきた漫画家・浅野いにお氏。時代を繊細に切り取る青春群像劇を描いてきた浅野氏が、これまでと違った作品を発表した。

 この作品、連載を始める段になって、浅野氏本人がツイッターで「売れなくていい」「誰も読まなくていい」と高らかに宣言したことで話題となった。その作品とは『ビッグコミックスペリオール』に連載された『零落(れいらく)』(9月に連載終了)。

 浅野氏自身を連想させるヒット漫画家が主人公で、離婚に風俗通い、アシスタントとの確執など暗澹とした生活に心が荒んでいく……という物語。主人公が見るからに浅野氏に見えることから、何ともゴシップ感の漂う作品としてファンの間では驚きの声が上がった。

 浅野氏は「自分勝手なワガママで描いた作品なので、読みたくない人は読まなくていい」と考えていたという。

「最近、キャラクターが自分と同じ年代ではなくなってきたんです。20代の頃は思っていることを描けば良かったけど、いまは想像で描いている部分も多い。

 逆に30代半ばになって、周囲の出来事の中から、『これは漫画にしたら絶対に面白くなる』という、20代の頃にはなかった感覚が出てきた。描きたい“ネタ”があるんですよ。でも、それを描く場がない。発散できない想いから虚無感になっていて、これを描かないと前に進めないと」

 そうした自身のプライベートでの経験が、作品の大きな指針となっている。浅野氏自身が人生の転機を迎え、実際に内容の構想にも変化を与えたという。

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